みみみ@読書好き理系社会人の日記

しがないコロナ世代の会社員の日常です。転職経験あり。

「彼女は頭が悪いから」読了

 こんにちは。

 

 最近、「彼女は頭が悪いから」という結構衝撃的なタイトルの小説を読んだので、感想でもつらつらと書こうと思います。

 この小説、私は知らなかったんですが割と有名で、東大の入学式のスピーチでも言及されたりとか、東大生に読まれてます!みたいに宣伝されてたりするみたいです。

 

 内容としてはかなり胸糞悪い展開のストーリーで、集団猥褻事件に関わった東大生の視点や東大生を囲む周りの環境、事件に至るまでの東大生たちのものの捉え方みたいなものが生々しく描かれています。

 

 とはいえ私は兄弟に東大出身者がいるので、実際東大生もそんなにヤバい人ばっかりじゃないよ。。。とはちょっと思いました。

 あと登場する東大生はみんな理系なんですが、この小説も含め世間の理系への偏見はちょっと不快です。

 

 

 

ざっくりとした内容(ネタバレ)

 実際に過去にあった東大生による集団猥褻事件からインスパイアされたフィクション小説です。

 超おおまかなあらすじとしては、あまり偏差値の高くない女子大に通う主人公が、たまたま知り合った東大生と意気投合して恋に落ちるも、その東大生が他の(かなり優秀で且つ魅力的な)女の子に気を取られてしまって主人公に段々と興味がなくなっていってしまった状態で、東大生仲間での飲み会に気まぐれにその女子大生を盛り上げ要員として誘って、東大生仲間と寄ってたかってその主人公に人権を無視したような酷いことをして、どうにか逃げた主人公の通報により結果捕まって前科持ちになってしまうというような話です。雑ですが。

 

 主人公の女子大生が事件に遭遇するまでと、事件に関わった東大生たちそれぞれの視点が入った濃い内容です。

 その事件に関わった東大生たちがどのような環境で育ってきたかや、彼らの東大というものの捉え方、東大にいる間に彼らが関わっていたいろいろなこと、それらにより育まれた彼らの価値観や考え方が、結果としてそんな酷い事件に繋がっている。。。ということが読み取れるストーリーになっており、色々と考えさせられる内容でした。

 

個人的感想

偏差値でランクがつくのは仕方ない

 小説中にもありますが、我々は人間なので、偏差値というわかりやすい物差しで通っている大学にランクが付けられているのであれば、自分から見てこの人の通う大学は上だとか下だとか思ってしまうのは仕方がないと思います。

 

 私はそこそこの国立大学出身で、自分の大学を基準にするとランク的に下に位置する大学の方が多いです。

 中学の時からそこそこ勉強して進学校の高校に入って、3年間勉強して大学受験に備え、晴れて国立大学入学です。

 そんな経緯があるので正直今も、それなりの大学に入れないのは大学受験までの勉強・努力が足りてなかったんでしょと思っています。

 

 この小説に出てくる彼らのような実際にいる東大生も、東大に入ったからにはこれまで多くの努力をしてきたのであって、そんな彼らが他の大学生に対して君たちは努力が足りなかったんだねと思うのは当然だと思います。事実ですから。

 

偏差値が高い大学に入るまでは本人の努力

 もちろん「本人の努力」と「周りの環境」の両方が大事だと思いますが、どちらが欠けていてもいけないですし、個人的にはどちらかというと本人の努力のウェイトの方が大きいと思っています。

 

 小説内では、受験にはテクニックも必要でそれらは塾で学んだりするから、親が塾に行かせていない子供は受験に強くなくても仕方がないというようなことが書かれていました。これについては違うと思いました。

 テクニックとか言いますが、受験においてテクニックが占めている割合なんてほんのわずかです。

 TOEICだって受験テクニックを教えたりするのは目標点数が500とか600点以下程度の人たち向けの本だったりします。それより上位を目指す人は大抵普通に勉強しています。

 大学受験やそれまでの高校、中学受験だって、確かに学校によって問題の傾向がありますが、テクニックを知らないと解答できないというものではありません。

 

理系の高学歴への偏見を感じる

 この小説で微妙に不快感があったのが、ところどころで小説中の東大生たちが周りの感情に疎いというのを、他人の気持ちとか情緒をいちいち読み取っていたら東大に合格できないとか、人文系の能力はいらないからわからないみたいな書かれ方がされている点です。

 

 なんかわからないんですが、世間的に理系の高学歴ってみんなロジカルな思考しかできないロボットみたいなやつとでも思われているんですかね。

 昔見たテレビ番組で、東大生を面白おかしくいじるような低俗なバラエティに出さされている東大生たちの中には確かにちょっと変わった理系の人とかがいた記憶がありますが、ああいうテレビが面白おかしく切り取った一面を本当に信じている人っているのかなあ。。。と思います。

 

 そんな切り取った一面をそのもの全体だと勘違いして評価してしまっている人がいるのであれば、その人はこの小説内に登場する東大生たちよりもきっと視野が狭いでしょうね。

 

まとめ

 ただの個人感想日記なので、本の内容というよりは個人的に理系高学歴(とそれを囲む周りの環境)について思うことの感想を書いてしまいました。

 今回は触れていませんが、この小説では主人公の女子大生が出会った東大生に対して思う感情などがものすごくリアルに描かれていたり、東大生たちもそれぞれに環境が異なっていてそれ故にその事件やその対応に対する捉え方が異なっているというのが描かれていたり、読み物としては結構面白い小説でした。では。