みみみ@読書好き理系社会人の日記

しがないコロナ世代の会社員の日常です。転職経験あり。

「六人の嘘つきな大学生」読了

 こんにちは。

 

 GWに入るちょっと前ごろに、「六人の嘘つきな大学生」という小説を読んだのでその感想を書きます。

 この小説は結構最近本屋さんでも人気なようで、ランキングみたいなのに並べられていたりしたので前から少し気になっていました。

 結論、結構読みやすくてかなり楽しめる小説でした。

 

 

 

ざっくりとした内容(ネタバレ)

 新卒採用の場面でかなり人気のある会社の最終選考に残った大学生6人が、チームで行う最終選考に向けて一ヶ月間程度仲間として対策に取り組んでいたところ、最終選考の少し前になっていきなり最終選考はチームで行うのではなくて六人の中で誰か一人しか合格させられないのでその一人を話し合って選んでほしいと会社から言われてしまい、ギスギスとした雰囲気で最終選考に挑むと、そのうちの誰かの企みで最終選考の場に六人それぞれの過去の悪事を暴く内容の紙が置かれていて、それを順番に開けて行ってそれぞれが非難されるという事件が起こった結果最も小規模な悪事が暴かれていた一人が犯人とされて且つ最後まで悪事が暴かれなかった一人が合格となったが、合格した一人がその事件の本当の犯人は誰かというのを残りの最終選考の参加者それぞれに後からインタビューして回るという内容です。

 

 結果的に犯人は暴かれ、その犯人が事件を起こした動機は、同じ会社を受けた優秀な大学の同期がなぜか序盤で振り落とされてしまったことについて、面接において人事なんて全然学生を見定めることができていないじゃないかと憤慨したことがきっかけとなったというものでした。

 

個人的感想

面接の短い間だけで志願者の能力を判断するのは無理

 これは作中において人事担当者のセリフでもありましたが、やっぱり面接の間だけで能力を見定めるなんて不可能だと思います。

 

 技術に携わったことのない人事担当者が技術職の志願者の業務遂行能力を判断するのは難しそうだし、配属先として考えられる現場の担当者だって実際に業務を一緒にしたことがない相手が自分と同じ仕事ができるかどうかを面接で判断するのは難しいと思います。

 私は新卒でメーカーに入社しましたが、就活での技術面接で技術担当者がこられたものの、製造関係の部署の担当者さんは技術面接でこちらが説明する大学での研究内容なんて全然ピンときてなさそうでした。(研究開発系の方は研究内容へは割と食いつかれていましたが)

 大きく理系職で括ってもそんなもんです。

 

 実際、私が新卒で入社した会社はそれなりに倍率が高いはずではありましたが、同期の優秀さはかなりばらついているなと思いましたし、かなり仕事ができないという噂のある同期の話も耳に入ってきました。

 そういうのを聞くと、人事って見る目ないんだなあとか思う気持ちもありますが、やっぱり面接では見極められなかったんだろうなあとも思います。

 それに、入社した時点での能力も大事ではありますが、社会人になってから何十年と働く中でどの程度成長するか、今後成長する気が本人にあるかどうかという、本人の向上心みたいなものも重要かと思います。それがあるかを見極めるのは特に難しそうですね。

 

誰だって切り取られたら悪く見える一面がある

 この作中では、一人の合格者を決める重要な場面で、各個人の印象を悪くする黒歴史みたいなものを切り取って暴かれるシーンがあ理ました。

 さらには作中の後半では実はそれぞれの黒歴史にはそれぞれのっぴきならない事情があって、本当は各人皆いい人だったみたいなことがわかっていきます。

 

 現実でも、他人の嫌な部分の一面だけを見て「この人は嫌な人だ」「この人は悪い人だ」というようにレッテルを貼り、さらにはたとえば匿名性がある場ではそのレッテルを大きく振り翳してこき下ろすというような事象が発生してしまっています。

 恋愛リアリティ番組とかで、出演者に対する印象を決めつけて、SNSでボロクソに叩くというようなものです。

 出演者たちは自分達からしたら全くの他人なのに、なぜわざわざ彼らのSNSアカウントまで追いかけていって叩くのか、その労力は無駄としか思えませんが、そもそも彼らに悪印象を抱く要因となったのは番組の中で切り取られたいくつかの場面によるもので、それらの場面が実際に彼らの生活の中で起こったことの一部を切り取ったことであるのにも関わらずそれらが全部であると信じてしまっているのであればそれはとても残念なことだと思います。(なんか文章を打っていて思いましたが、B'zのイチブトゼンブみたいですね)

 そんな視聴者たちの浅はかな罵倒のせいで、結果自殺者まで出てしまっているのは本当に悲しいことだと思います。

 

 恋愛リアリティ番組の出演者たちが、世間で思われているよりももっといい人なのかどうかについては実際分かりませんし私にとってはどちらでも良いのですが、勝手に悪だと決めつける必要もありません。

 

 私も、例えば会社の同僚でこの人は信頼できる/できない人だと思っていても、その人も家庭に帰れば真逆の性格かもしれないなと思いますし、私も、例えば仕事中の何かしらの振る舞い一つにより、同僚の一部から嫌な人だと思われている、ということもあるかもしれません。

 

まとめ

 ランキングとかで見かけただけあって、かなり読みやすくて面白い本でした。感想としてはやっぱり、就活の面接ってどうしても(その時点だけで見ても)優秀な人を選別するのは難しいんだろうなあと思います。では。