「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」読了
こんにちは。
「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」というタイトルの本を読んだので、その中で興味深かったトピックについて感想を書きます。
この本はMITを院まで進んで卒業後、大手コンサルにて経営コンサルタントとして働いた後、ファイザー、ジョンソンエンドジョンソンでキャリアを積んだ方による本で、「え、肩書すご。。。。。。」と思いつつ読んでました。。
内容としてはコンサルの否定というわけではなく、コンサルとの正しい付き合い方とか、企業の中ではそもそもどのようなことに重きを置いた方が良い企業になるか等について書かれていて非常に興味深い本でした。
- バカだと思われたくない
- 98%の社員が「自分は真ん中より上」と思っている
- 「客観的な評価」なんて存在しない
- ピーターの法則
- 業績が悪い理由は「能力」より「環境」が大きい
- 感想:確かになあと思いながら楽しく読める本
バカだと思われたくない
昔私の意見には何でもはなから否定してくる先輩の下についていたときにこの思考をしていたので、このトピックにかなり共感しました。
これは業務プロセスの問題として挙げられているポイントの一つで、例えば検討中のことを未熟なまま全体に報告してバカだと思われたくないばかりに、完璧に練り上げてから発表してしまうということです。
これだと何も問題なければそのまま進むかもしれませんが、自分以外の視点が何も入っていない状態だと、実は気づかなかった点で重大な問題があったために完全に練り直す必要が出たり、出戻りが発生してしまうという問題があります。
これっておそらく様々な業種において往々にしてよくある話だと思っていて、私の職場の同期もこまめな確認、報告や事前共有等を怠ったがために、大勢の人が参加する会議の序盤で、提案にいくつもの不備や考えられていない点が発覚して参加者たちの時間を無駄にしてしまったという失敗をしていました。
私たちはある程度の学歴をもってそれを期待されて仕事についているわけで、ある程度自分が考えていることが正しいとか、ちゃんと考えられているはずだとか、こんな手前で報告したり相談したりしてバカだと思われたくないと思ってしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
とはいえ自分が相談される立場であればおそらく別にバカだなあとか思わないですし、もし自分が後輩や新人を指導する立場になれば、どんな案でもバカにしないから何でも質問、相談できるような関係を作りたいです。
なのでやはりこの本にも書かれているように、会議や全体への報告よりも前に関係者に事前に相談したり内容を共有しておけば、立場の違う他人の視点から見て明らかに問題がある案などは早めに没にしておけて効率よく進められるんだろうなと思います。
98%の社員が「自分は真ん中より上」と思っている
このトピックはシンプルに面白かったです。人間だれしも平均よりは上と思う認知バイアス(「平均以上効果」とか言われたりするらしい)があるらしく、ほとんどの社員は自分が平均より上、さらに80%は上位1/4以上にいると思っているらしいです。
そのバイアスがどこで影響するかというと業績考課関係で、上記バイアスがあるために上司からの評価シートを見ると大半の人がやる気を失ってしまうとのことです。
私も確かに自分が平均より上だと思ってしまう思考があります。自分はそこそこ仕事が早いんじゃないか?とか思います。
でも確かに自分の仕事を自分で評価する中では、明確な指標とかがあるわけではなく、他の人より仕事が早い気がする程度のものですし、会社に対して利益をどの程度出しているかとかいろいろな観点で業績が高い人と低い人を割り出さないといけない上司から見たら私の自己評価は割と些末なのかもしれませんね。
「客観的な評価」なんて存在しない
だよねえ、って思います。
最近やってるドラマ「クロシンリ」というもので、会社の上司とうまくやるための心理術として、ミラーリング効果、上司の言動や趣味嗜好を真似することにより、自分が上司と同じ考え方を持っていますよということをひそかにアピールして気に入られるというものがありました。
この本でも上記と同様のものが紹介されている他、特に言われてみれば!と思ったのは、上司から部下への期待の度合いにばらつきがあるということです。
私の会社では業績評価のために定期的な目標を設定していますが、これは基本的上司がこれを目標にしなさいというよりは自己申告なので、そこですでに自分からのやる気・上司のそれに対する期待というものは人によってばらついているんだなと思います。
この本でも、実力があるのにも関わらず上司からの期待が小さいという人が自分の実力を発揮した時上司が驚いて非常に高い評価を付けたけれども、本人は逆にがっかり、という例が示されています。
ピーターの法則
これは界隈では有名な法則なようなのですが、私は初めて知りました。
ピーターの法則というのは、階層社会ではすべての人が昇進を重ねて各々の無能レベルに到達するというものです。こうなると皆がそれぞれの最終ポジションで無能になります。
確かに今のポジションで優秀な成績をあげたとしても昇進して業務が変化するとそのポジションの人間としては無能になってしまうということはありそうだなと思いました。
私の会社ではほぼ強制的に入社数年で部署異動を行うのですが、そうすると確かに無能な状態になっていたポジションから逃れられる人もいるかもしれないけど、同じ確率で自分が無能になるポジションに行ってしまう人も出そうです。
この本で書かれているような、あるポストで能力を発揮できなかった場合に次のポストへ移るという選択肢があれば、より配置転換による成果は得られるのかもしれません。
業績が悪い理由は「能力」より「環境」が大きい
これはかなり共感です。
優秀な人であればどんな環境でも優秀な成績をあげられるはずだというのは間違いだろうなと確かに思います。
私は入社後に配属になったチームでの主に先輩との人間関係や、ちょっとした部内でのハラスメント問題があったために休職し、今は元とは別のチームに配属されました。
自身が優秀であるというつもりはないですが、元のポジションにいたときよりははるかに仕事がしやすく、仕事をうまく進められているように思います。
特に環境の違いで言えば、今のチームでは自分の考えを気兼ねなく相談しやすく、実行に移しやすく、アドバイスをくれるメンバーに恵まれているということです。
自分は元のチームを抜け出して良い環境に恵まれましたが、今後もそのような環境を次の世代に残していくことによって、良い成果を出し続けるようなチームが作れればいいなと思います。
感想:確かになあと思いながら楽しく読める本
この本はコンサル関係の本の中でも読みやすいうえに語り口調が面白い良い本でした。今回は面白かった部分の感想として書いたトピック以外でもリーダーシップやマネジメント関係の話題があります。今の私にとってはやや関係が薄い話ではあるものの、今後参考にしていきたいです。では。